労働時間・休日

【社員へのメール例文付き】台風や地震、どう対応する?会社がすべきことと補償について

この記事でわかること

・災害で出勤できないとき、出社の状況によって、会社の対応と補償方法が変わること
・社員へは早めに周知する必要があること
・会社には、社員が安全に仕事をするための「安全配慮義務」があること

災害で社員が出社できないケースは、大きく分けて3つ

台風や地震などの災害で、社員が出勤できない状態が発生した場合、以下の3つのケースに分かれます。

ケース①、ケース②は「会社都合ではない休日」=補償義務はない

会社が、その日の給与を支払う必要はありません。①と②の場合は、ノーワークノーペイの原則(働いていない時間に対しては賃金は支払わなくてよいという原則)に従います。

そのため、有給休暇の取得を推奨する会社が多いです。

有休がない社員については欠勤控除になるため、休日を振り替えてその日の代わりにどこか別の休日で働くようにしたり、特別休暇を与えるなどの対応を行うことをおすすめします。

 

ケース③は「会社都合の休日」=補償義務がある

法律上、会社都合で出勤日を休みにする場合は、社員に対して休業手当を支給することとなります。


休業手当を支給する場合は、平均賃金の6割を支払います。

 

つまり、天災によって会社で業務を行うことができなくなってしまった、または交通機関が麻痺して出社できなくなった場合は休業手当の対象となりませんが、会社が業務を行える環境にもかかわらず、会社の判断で休みにした場合は休業手当の可能性が生じます。

 

安全配慮義務

会社には、社員が安全に仕事をするための「安全配慮義務」があります。


仮に災害時に交通機関が動いており、出社できる状態だったとしても、怪我することが予測できる場合に出社命令を出し、本当に怪我をした場合、安全配慮義務違反に問われます。

 

会社として対応するときの流れ

会社として対応するときは、以下の流れで行います。もちろん社員の安全が最優先なので、それを基に判断をします。

大前提として、出社せずに勤務を行うことができれば、何も処理する必要はありません。普段からリモートワークができる状態にしておくことは、災害時にとても役に立ちます。

 

ケース①、ケース②の場合

【例】
・大きな地震で交通網や電話回線が麻痺、会社と連絡が取れず、自主的に家にいることにした
・台風で電車が動かなくなり、会社までたどり着けなかったので引き返した
・水害で会社の機能がストップし、出社しても何もできない状況になった

災害の日には有給休暇の取得を推奨します。
2019年4月より、年間5日以上の有給取得が義務付けられていることもあり、可能であれば取得をしてもらいます。ただし、有給休暇の取得を強制はできません。あくまでも本人の希望を聞き、合意が取れてからの手続きとなります。

 

有給休暇を使わない場合は、災害の日を振替休日として、同週内の休日を出勤日にします。(振替休日を行うには、あらかじめ就業規則への記載が必要です)
有給休暇の取得を行わなかった社員のみ、振替を行うことも可能です。振替休日にしない場合は、欠勤控除とすることもできます。

交通機関の麻痺は、会社の責任ではありません。そのため休業補償をする必要はありませんし、月給なら給与を控除できます。振替休日も、必ずしもしなくてはいけないと、法律で決まっているわけではありません。しかし、休業補償も振替休日もなければ、社員はただ給与が減るだけで、負担をかぶることになってしまうため、有給休暇の取得をすすめることが推奨されているのです。
※会社がそう申し出ても、社員本人が有給休暇の使用を拒否した場合は、会社はその日を欠勤控除できます

 

ケース③の場合

【例】
・台風が直撃し、交通機関も会社も機能はしているが、遠方の社員に「危険だから今日は出社しなくていい」と指示を出した
・地震が起きた日に、子どもを迎えに行く社員に「今日は休んで、落ち着いてから出社してくれたらいい」と指示を出した

社員の安全のために会社判断で休業とする場合は、休業手当を支払います。休業手当を支給する場合は、平均賃金の6割を支払います。

 

社員への周知は、早めに行う

災害時は、社員もどうすればいいか迷っています。場合によっては、無理にでも出勤する社員もいるかもしれません。その結果、災害に巻き込まれてしまっては、意味がありませんから、社員に対してはなるべく早く周知を行います。

・大型台風が来ると前日までに分かっていたら、交通機関の情報を確認しながら、前日のうちに対応を指示する
・地震などで詳細な情報が分からない場合も「とにかく来い」は避ける

 

社員への連絡メール 文面テンプレート

社員に連絡する際の文面テンプレートです。適宜修正し、利用してください。


翌日に台風が接近している場合のメール文面

件名:緊急(台風接近による有給休暇取得についてのご案内)

おつかれさまです。〇〇部の鈴木です。

さて、台風〇〇号の接近に伴い、明日の朝早くより大雨・暴風警報の発令が予想されます。
交通機関の運休等で出社できないケースも想定されますので、以下に従って行動してください。

・業務に支障がない場合は、有給休暇を取得し、休日とすることを検討してください。その場合は、〇時までに〇〇へ申し出るようにしてください。
・振替休日の扱いができる部署は、課長判断で計画を立ててください。
・業務上の理由により出社する場合でも、関係各所への対応・調整を図り、安全を第一に考え、早めの行動を心がけてください。

本件に関しご不明な点等ございましたら、〇〇部までご連絡ください。以上、ご対応よろしくお願いいたします。


地震が来た日のメール文面

件名:緊急(先ほどの大型地震について)

〇〇部の鈴木です。

午後4時30分に発生した大型地震について、対応を指示します。

①安否確認のメールを返信してください。
②社外にいる場合は、帰社・帰宅のどちらが安全か各自で判断し、安全が確保できる場所へ移動してください
③社内にいる場合は、上長の指示に従って行動してください

明日以降の対応は、追ってメールで連絡します。会社決定で休日とする場合は、休業手当を支給します。無理をして出社することのないよう、安全第一で行動してください。

本件に関しご不明な点等ございましたら、〇〇部までご連絡ください。以上、ご対応よろしくお願いいたします。


※会社の人数規模や、業務内容によって、上記文面は変わります。会社の現場に即した文面をあらかじめ作成し、すぐに送れるようにしておくことをおすすめします。

平常時からの用意が大切

会社から「休んでいい」といわれても、給与が出るのか、どのような扱いになるのかが明確ではないと、社員も安心できません。そこで必要なのは、「行動基準」と「就業規則」です。

行動基準とは、「在宅勤務・休業・待機」などの指示を、誰がどのように下すかをあらかじめ定めておくこと。そして就業規則には、会社から指示が出たときの賃金や、振替休日の有無などが定められている必要があります。

これらのルールが決まっていないと、災害が起きてからパニックになってしまい、会社の安全も社員の安全も守られません。平常時から、マニュアルやガイドラインとして作成しておくことが大切です。

 

災害時の会社の対応は、社員からの信頼にもかかわる大切な判断です。特に最近は、台風などの予測が正確になり、早めに交通機関の運休が分かるようになりました。危険な状況が予想されるにもかかわらず、出社を強制することは、社員のモチベーションを大きく下げてしまうでしょう。
確かに、会社の都合で休日にすると、休業手当を支払わなくてはなりません。しかしその手当代より、働いてくれる社員の安全や、会社への信頼獲得が第一ではないでしょうか。災害時こそ、利害にとらわれず、社員の安全を考えて早めの判断を行いましょう。

 

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