労働時間・休日

残業申請の導入の流れ 就業規則で定めるべき運用方法と注意点

この記事でわかること

・残業のルールをあいまいにしておくことのリスクと、導入のメリット
・残業申請は就業規則に定めること、また何を決めておくべきか
・導入後の注意点と、管理者育成の必要性

 

残業申請の必要性

社員の働く時間は、就業規則や労働条件通知書で定められています。


その時間を「所定労働時間」といい、
所定労働時間を超えた時間を労働すると残業となります。

 

所定労働時間を超え、法定労働時間内(一日8時間、週40時間など)なら、1.0の時間給与が支給され、法定労働時間を超えて労働したときは、1.25の割増手当が支給されます。

残業代は、会社にいたことを証明するタイムカードなどにより、残業時間を集計して支給します。

しかし、仕事が終わった後にしゃべっていたり遊んでいたりして、タイムカードでまだ退勤を押さない社員が社内に残っていることがあります。

このような場合も、明らかに仕事をしていないと会社が証明できないならば、タイムカード通りの残業代を支給しなければなりません。

 

そのような「あいまいな時間」をなくすため、残業申請を導入しましょう。残業は、許可した時間のみ可能として、労働していない時間の残業代を支払わないように管理することが大切です。

 

残業申請の導入で得られるメリット3つ

残業申請のルールをまだ決めていない会社は、ぜひ導入をおすすめします。メリットは大まかに3つあります。


残業申請により、上司は部下の仕事内容を把握できます。残業が必要な業務か判断し、残業が必要ない業務であれば、仕事の効率化に取り組むことができます。

特定の人に業務が集中している状況ならば、他の人に割り振って仕事の量の調整をします。また、社員本人も、残業時間を意識することによって仕事の方法を見直すきっかけになります。


ひと月の大まかな残業時間を定めて、その範囲内で仕事を行うように社員と上司で調整することにより、残業時間の減少につなげます。

残業時間の減少は残業代の削減になるので、会社の予算が立てやすくなります。

 


働き方改革による残業時間の上限規制(ひと月100時間や、ひと月45時間など)を超えないよう、その月の労働時間を把・調整することができます。

タイムカードだけの運用では、給与締切日後の集計時に、超えてしまっていてることが判明し、焦ることになります。

 

残業申請の導入時に決めること

残業申請のルールを決めるときのポイントは、以下の3つです

①どのようなときに申請するか決める

1分でも残業する予定なら申請するのか、1時間以上残業する予定なら申請するかなどのルールを決めます。

ルールは会社によってさまざまですが、おすすめは、所定労働時間後は全員15分程度の休憩を取ることを定め、その休憩が終わった後に残業する場合は申請が必要、と決める方法です。

・所定労働時間後には休憩を入れる
・残業申請は15分単位(または30分単位)が一般的
・所定労働時間後に申し出るのではなく、事前申請を行うのが望ましい

 

②申請期限を決める

残業申請は残業する当日でもいいのか、前日までかなどを決めます。

急な仕事が入る可能性ある会社は、「当日の所定労働時間終了までに申請する」と定めるなど、会社にあわせてルールを決めます。

終業が18時なら、「17時までに申請が必要」など、その日の業務の進み具合が判断できる時間帯に定めている会社も多くあります。

③誰が承認するのかを決める

承認権限は誰にあるのかを明確にして、承認権限のない人が承認しても、残業は認められないことを周知します。

 

残業申請はどう定めればいい?

残業申請については、就業規則に定めます。

就業規則には、残業は事前申請が原則である旨などを記載します。こまかいルールについてはルールブックなどで社内に告知することもあります。

 

そのうえで、「残業申請書」などの書式を作成し、社員が使用できるようにしておきます。

【残業申請書に必要な記入欄と、流れについて】
・残業予定時刻と残業する理由を記入する欄

・上司の承認欄

・実際にかかった残業時間の記入欄

・上司の確認欄

残業申請書は、紙で管理するケースと、WEB上で管理するケースがありますが、どちらも残業代計算時や、労務トラブルが起きたときの大切な判断材料となります。

 

残業申請に関するいろいろなルール

会社によっては、変わった残業ルールを運用していることもあります。

・残業するときは着ぐるみを着る(早く残業を終わらせるように仕向ける)
・机の上に残業中だと分かる標識のようなものを置く(残業していない社員との区別を明確にする)

どちらも、ダラダラと残業時間を過ごすことのないような工夫です。

残業申請導入後の注意

残業申請を導入した後も、いくつか注意すべき点があります。

まず、残業申請の終了時刻とタイムカードの退勤時刻があまりにも違っていたら、原因を探って注意しましょう。


残業申請せずに残業していることもあります。そのような社員を見つけたら、残業申請にない業務をしてはいけないと注意して退勤させましょう。

注意せずにそのまま残業をさせていると、暗黙の了解で残業を認めているとされ、残業代を支払うことになる可能性が出てしまいます。

勝手な残業の原因が、業務量が多すぎたのか、本人の能力不足なのか、期日が迫っている緊急な仕事だったからなのかなどの原因を探り、残業申請をしないで残業をすることがないように、社員に注意や指導をして、社内体制を整える必要があります。

残業申請を受ける管理者の教育も必要です。無制限に残業を認めるのではなく、残業の必要があるのか、時間数は適正化などを判断・承認できるよう、管理者を育成しましょう。


残業申請の導入は、長時間労働の防止にとても有効です。
また従業員から残業代請求の申立があったとき、残業代を支払ったことを証明するためにも役立ちますので、導入をおすすめします。

 

残業をあいまいにしていて、いいことはありません。労務トラブルが発生したとき、社員側が記録を残していて、多額の残業代を支払うことになった…などのニュースは目にされたことがあるでしょう。そのようなリスクを防止するには、会社側が運用のルールを定め、必要な残業にはしっかり残業代を支払うことです。そして不必要な残業は認めず、社員の過重労働や健康の問題を減らす取り組みも大切です。

 

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