労働時間・休日

遅刻・早退があったらどうする? 給与から控除してもいいのか

この記事でわかること

・遅刻や早退の控除や、処分については、就業規則で定めておく必要がある
・連絡方法の周知や理由の取得方法など、ルール化の具体的な流れ
・急な解雇はできないなど、常習的な従業員への対応の考え方

 

遅刻・早退した時間の、控除の考え方

遅刻・早退の時間の控除は、就業規則で遅刻・早退の定義をし、遅刻・早退をした時間分の賃金の控除について明記する必要があります。

ノーワークノーペイの原則で、就業規則への記載と周知を行えば、給与から遅刻・早退をした時間分の賃金控除は可能です。

 

【遅刻・早退の時間の考え方】
労働基準法では、日々の労働時間を切り捨てすることはできず、1分単位の集計が求められています。タイムカードの設定上15分単位や30分単位で切り捨てする(つまり5分の遅刻を15分遅刻とするなど)ことがありますが、法律上は違法です。

この場合、労働者有利の端数切り上げ(始業が9:00からで、出社が9:05の場合、9:00から勤務したとみなすケースなど)は認められています。

 


完全月給や残業代のつかない管理監督者の場合は、遅刻・早退の控除はできません。

 

控除が認められているのは、日給月給もしくは日給で契約している人になります。なお、時間給の場合は、遅刻した時間分は支給しなくてよいので、控除という考え方はありません。

参考:しっかりマスター労働基準法 割増賃金編|東京労働局

 

就業規則で定めておくこと

遅刻・早退の理由には、体調不良や寝坊、電車の遅延、家族の急な発熱などが考えられます。

【就業規則で明確に定めておくこと】
事前に会社に連絡をすること、またその連絡方法
有給休暇を使用できるかどうか

上記のルールが明確でないと、遅刻・早退が常態化し、職場の雰囲気の悪化やモチベーションの低下に繋がります。連絡方法などを周知し、適正に運用することが必要です。

 

遅刻・早退のルール化の流れ

まずは社内ルールとして、「誰に、いつまでに、どのような方法で連絡するのか」を決め、周知します。

運用上、始業直前での連絡を避けるためにも、たとえば「始業15分前までの連絡」などと定め、出社後に遅早届を提出させるなどの勤怠管理を行います(有給取得を認める場合は、必要ありません)。また、連絡がなかった場合のルールも決めておきましょう。

 


遅刻・早退の理由は、2種類に分けられます。「本人が理由」か「本人以外が理由」です。
本人が理由のケースには、体調不良や寝坊などがあります。本人以外では、電車の遅延や家族の急な発熱などが多いでしょう。

具体的な理由を、必ず本人から聞いてください。理由を聞いた上で、指導をおこない、改善できる点があれば改善を促します。


指導をしても遅刻・早退を繰り返す従業員には、指導したことを書面で残し、このまま改善がされないようであれば、懲戒処分もあり得ることを本人に伝えます。

 


ノーワークノーペイに則り、不足時間の控除以外に、減給処分を行いたい場合は、事前に就業規則へ減給処分についての記載が必要です。

たとえば「事前に遅刻・早退の連絡をしない」「電車の遅延理由書の提出の求めに応じない」などの場合は、懲戒処分とする可能性があることと、処分の内容を記載しておき、常習的な従業員には適用します。

 

一般的な減給には、「減給の制裁」といわれる仕組みが利用されます。

減給の制裁は「1回の減給額は平均賃金の1日の半額を超え、一賃金支払期の制裁の総額は賃金総額の10分の1を超えてはならない」と決まっており、1回の処分について何日間も減給できるわけではありません。

 

また、1回の遅刻で減給の制裁を行うことは奨励できません。複数回の遅刻・早退が行われ、指導に従わない場合に、処分対象とするケースが多いでしょう。

平均賃金はどうやって計算する?|神奈川労働局

 

急な解雇はNG 指導書の作成を

勤怠不良が重なり、解雇を検討したいケースはどうしたらよいでしょうか。

懲戒処分は戒告、譴責(けんせき)、減給処分、出勤停止、降格降級、解雇の順番で重くなります。

【懲戒の基本的な考え】
軽い処分から始め、指導を繰り返しても改善されずに新たな問題を引き起こした場合に、次の処分を適用させます。

 

遅早では、急な解雇は無効とされる場合が多いため、指導、改善をいかに促したかを記録として残し続ける必要があります。

古い判例では、1年で欠勤27回と遅刻・早退99回を繰り返した労働者を突然諭旨解雇としたため、解雇無効になったものもあります。(神田運送事件|東京地裁昭和50年9月11日判決)

処分をする際は、必ず遅早の理由を丁寧にヒアリングするとともに、指導書や注意書を作成交付し、労働者へ改善を促しつつ、証拠を残して懲戒を進める必要があるでしょう。

 

遅刻・早退の理由はさまざまです。天災や事故など自分ではどうしようもないことや、子どもの病気などが理由の場合、適切なルールがあれば、会社も従業員も安心して対処ができます。しかし遅刻・早退の理由があいまいだったり、虚偽の報告、また私用での勝手な取得が続くと、会社全体の問題になってしまいます。もしそのような従業員がいたら、早めの対処が必要です。公正に対応するためにも、まずは就業規則でルールを明確にしておきましょう。

 

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