労働時間・休日

社員は何時間まで働いてもらえる? 法定労働時間・所定労働時間と、残業代の計算方法

この記事でわかること

・労働時間には、法定労働時間と所定労働時間がある
・所定労働時間より、法定労働時間が優先される
・ふたつの労働時間では、残業代の計算方法が違う

労働時間とは

労働時間とは、会社の社長や上司による指示のもと、会社のために働かなければならない時間のことです。

労働時間には「法定」と「所定」があります。

このふたつの労働時間を理解しておかないと、残業代の計算などが正しくできません。

法定労働時間について

まずは、法定労働時間についてみていきます。


法定労働時間は、労働基準法という法律により、
「1日8時間、1週間40時間以上働かせてはいけない」という上限が定められています。

労働基準法は、会社が社員を雇う際に守らなければならない法律で、社員がある程度の生活水準を維持できるような労働条件がルール化されています。長時間労働は、社員の心身にさまざまな悪影響を及ぼします。したがって、会社は法定労働時間の上限を厳守しなければなりません。

法定労働時間の例外

この法定労働時間はあくまでも原則であり、以下は例外とされています。

労働時間を期間ごとに調整するために「変形労働時間制」などを取っている会社の場合は、この上限時間を超えて働かせることが認められています。

 

「特例措置対象事業所」と呼ばれる、商業や映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業などを営む会社は、仕事の内容によっては長時間労働が必要となるケースがあり、法定労働時間を守ることが難しい場合があります。

「特例措置対象事業所」は、特例として1週間あたり44時間まで働かせることが認められています。飲食店、美容室、クリニックなどが対象です。ただし、社員が10未満の場合のみです。この10名未満には、正社員以外のパート・アルバイトなども含まれます。

18歳未満には、週44時間をあてはめることはできません。
ですので、週40時間が上限となります。

 

所定労働時間について

一方、労働時間には「所定労働時間」という概念もあります。これは、法律ではなく会社内で決められた労働時間のことです。所定労働時間は社内で決められたルールであるため、社員側にその内容をきちんと伝えなければなりません。


所定労働時間は、就業規則や、個別に交わす雇用契約書などで、具体的な数字を定めておく必要があります。


ただし、覚えておかなければならないのが、すべての会社は労働基準法を守りながら社員を働かせなければならない、という点です。

つまり、所定労働時間は法定労働時間内に収まる形で決めなければいけません。もしも法定労働時間を超えた所定労働時間を定めたとしても、その超えた部分については法律違反となり、無効扱いになります。

【例】9時から19時までが就労時間で、1時間の昼休みがある会社の場合
所定労働時間は9時間になります。これでは法定労働時間の「1日8時間」をオーバーしてしまうため、法定労働時間の1日8時間が適用され、1時間は残業扱いとなり、1時間分の残業代の支払いが必要です。

就業規則、雇用契約書の勤務時間の記載は、8時間以内になるようにしておきましょう。

 

法定労働時間と所定労働時間で、考え方が異なる「残業時間」

会社で決められた労働時間を超えて仕事をした場合、その分の時間は「残業」扱いとなります。

しかし、この残業については、法定労働時間と所定労働時間で考え方が異なるため、注意が必要です。

法定労働時間を超える残業をした場合

法定労働時間をオーバーして働かせた場合は、その社員に対して労働基準法で決められた割増率を乗じた「割増賃金」を支払わなければなりません。

割増率は、原則として賃金額の25%分です。ただし、大企業の場合は1ヶ月に60時間を超える残業をさせた場合は、割増率が50%になります。

【労働時間が9時から18時まで、休憩時間が1時間ある会社で社員Aが20時まで働いた場合】
2時間分の割増賃金を支払う必要があります。
社員Aの時間あたりの賃金単価が1,000円の場合、その日の労働時間となる1,000円×10時間=10,000円に加え、割増賃金額として1,000円×2時間×25%=500円を支払わなければなりません。

なお、法定労働時間を超える残業をさせる必要がある会社は、あらかじめ、「36協定」という時間外・休日労働の詳細を定めた協定届を出しておく必要があります。

 

所定労働時間を超え、法定労働時間内に収まる残業をした場合

所定労働時間が法定労働時間より短く設定されている会社で法定労働時間内に収まる形の残業をさせた場合は、①のケースとは計算法が異なります。

【労働時間が9時から17時まで、休憩時間が1時間ある会社の場合】
所定労働時間は7時間になります。
この会社の社員Bが17時から18時までの1時間を残業した場合、残業時間は当然ながら1時間です。しかし、1時間の残業分を加えても一日トータルの労働時間は8時間となるため、社員Bの労働時間は法定労働時間内に収まることになり、①のような割増賃金は必要ありません。

つまり、実際に社員Bが働いた労働時間分の賃金を支払えば足りるため、社員Bの時間上りの賃金単価が1,000円の場合、その日の労働時間となる1,000円×8時間=8,000円が支払額となります。

なお、上記の社員Bが20時までの3時間を残業した場合は、17時から18時までの1時間分は労働時間分のみの賃金を、残りとなる18時から20時までの2時間分は割増賃金を加えた額を支払うことになります。

残業代を支払う場合は、その残業時間が法定労働時間内に収まるかどうかで、金額が変わってくることを覚えておきましょう。

 

社員にとって、「働く時間」と「働いた時間だけの給与」は、仕事をする意義にもつながるとても大切な要素です。勤務時間を適当に定めたり、残業代をあいまいにすると、社員の不信感を招き、離職の引き金にもなりかねません。
今まで勤務時間管理をしっかりやっていなかった、口頭で残業を命じ、残業代の計算を適当にしていた…などということがあれば、できるだけ早く改善しましょう。不満を持った社員が退職をしてしまってからでは遅いですし、最悪、退職後に残業代について訴訟を起こされる可能性もあるからです。

 

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