労基署の調査、何を準備する?必要書類から当日の流れまで

この記事でわかること
  • 労働基準監督署の調査の概要を知る
  • 必要書類の準備と、当日までの流れ
  • 調査にかかる時間や、日時の変更など

基礎知識

労働基準監督署による調査ではどのようなことを調べられるかを知り、事前準備を行い、安心して調査に対応できるようにします。

言葉の定義

労働基準監督署とは、労働基準法だけではなく、安全衛生法や最低賃金法、労災保険法など、労働に関する法律を担当し、調査や指導などを行うところです。残業代の未払いはないか、法律で定められている帳票類は正しく作成されているか、健康診断は実施されているかなどを調査し、違反が発覚したときは企業に対し是正勧告を行います。

なぜ必要?

労働基準監督署の調査は、どの企業にも必ずあるためです。

リスク

是正勧告を受けても内容を改善しないときは、送検や、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金などの罰則が適用される可能性があります。

対象企業

従業員を雇用しているすべての企業

実施期間

定期調査は事前に文書で知らされます。日時と事前準備資料の指定がされるので、準備を行います。まれに、文書の前に電話連絡があるケースや、連絡なしで調査に来るケースもあります。

 

やること

労働基準監督署から調査の文書が届く

定期調査は、毎年度、労働基準監督署の監督計画にそって調査する事業場が決められます。いつ調査があるかは文書が届くまで分かりません。

必要書類を用意する

労働基準監督署から届く文書には、調査に必要な書類の一覧が記載されています。一般的には以下の書類が必要になります。

出勤簿またはタイムカード / 賃金台帳 / 労働者名簿 / 36協定書 / 1年単位の変形労働時間制に関する協定書など(「事業場外みなし労働時間制」など労使協定が必要な制度を利用しているときはその労使協定) / 就業規則、賃金規程、諸規定 / 雇用契約書または労働条件通知書 / 有給休暇管理簿 / 健康診断の実施結果  など

上記は、労働基準監督署の調査のあるなしを問わず、揃えておくべき書類です。過去1年分を指定されることが多いです。

事前に確認を指示された内容を準備する

文書で指示される確認事項には以下のような項目があります。

全従業員数 / 男女別の労働者数 / 18歳未満の労働者数 / アルバイトとパートの人数 / 外国人の従業員の人数と在留資格の種類 / 障害のある従業員数と業務内容 / 企業内で最も賃金の低い労働者の賃金額 など

一般的には、調査文書に、上記を記載するための書面が同封されています。内容を確認し、当日までに項目をすべて埋めておきましょう。普段から管理ができていれば短時間で済みますが、細かいところまで管理ができていないと時間がかかるため、早めに取り掛かってください。

準備に時間がかかるとはっきり分かるときは、労働基準監督署に調査日時の変更の相談をしてください。

労働基準監督署に行く

調査日に、労働基準監督署から指示された書類を労働基準監督署に持参します。行く前に不備が見つからないよう、前日までに書類を準備しておきましょう。

労働基準監督官の調査を受ける

調査では、就業規則が正しく運用されているか、労働条件を書面で通知しているか、36協定書など必要な届け出をしているか、残業代は正しく支払われるか、健康診断は決めれらた期間に実施されてるかなどがチェックされます。

POINT

従業員50人以上の企業では、ストレスチェックが実施されているか、産業医がいるかなどの調査項目もあります。

必要に応じて是正する

労働基準監督署の調査で問題が見つかると、「指導票」または「是正勧告書」が労働基準監督官から交付されます。

「指導票」「是正勧告書」は、改善後、書面で報告を行わないといけません。報告をしなければ、改善の状況確認のため再度調査が行われることもあります。報告書の書式は任意ですが、調査後に労働基準監督署から書式をもらえることが多いです。労働基準監督署に依頼して、書式をもらうことも可能です。報告は時間がかかっても完了させましょう。終わるまで、報告の督促などが届き続けます。

 

よくある質問

Q:定期調査の時間はどのくらいかかりますか?

内容にも寄りますが、おおよそ1時間程度です。

Q:調査の日は予定があります。日時の変更はできますか?

できます。早めに労働基準監督署の担当監督官へ電話連絡をして、日時の変更について相談してください。担当監督官は、事前に届く連絡文書に記載されています。

Q:是正勧告書を交付されました。改善期限内に、指摘された内容の改善が間に合いません。労働基準監督署への報告はどのタイミングで行えばよいでしょうか?

改善が間に合わない、時間がかかるとわかった時点で、労働基準監督署に相談をしてください。対応できている部分、未対応部分があると思います。そのあたりの理由なども含めて相談されることをおすすめします。

また、毎月1回は労働基準監督署へ途中経過を報告してください。相談もせず、途中経過の報告もできていなければ、報告の督促や改善ができているかの確認のため再度調査が行われたり、悪質なときは送検されることもあります。

Q:虚偽の書類を作成したり、報告をしたときはどうなりますか?

対応が悪質とみなされれば、逮捕・送検される可能性もあります。6か月以下の懲役または30万円以下の罰金などの罰則が適用されることもあります。書類を改ざんしたとしても、書類全体のつじつまが合わなければ、すぐに分かります。正しい報告を行ってください。

 

難易度と必要性
難易度
★★☆
必要性
★★☆
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス

調査の連絡がきたら、必ず対応してください。労働基準監督署の調査の連絡を無視していると、事前連絡なしに直接調査に入ることもあります。何か事情があるときは、必ず連絡して日時変更を相談しましょう。きちんと連絡をすれば、労働基準監督署は意外と事情を考慮してくれます。
労働基準監督署が調査する項目は、働きやすい環境構築に必要なことばかりです。「うまくすり抜けよう」などと思わず、正しい労務管理を行うようにしてください。

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